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 press release
2015/12/19
[特集] TPL、Division-1 2015 迷走するACL、昇格、降格クラブの行方

Buriram ACL

 ブリーラム・ユナイテッドが無敗のまま3年連続の優勝を飾った2015年シーズンのTPL。そのTPLから3つのクラブがAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)への出場権を獲得し、3つのクラブがDivision-1へと降格する。しかし、リーグが終わった現在でもそのクラブがどこになるのか一部不透明なままとなっている。また、Division-1でも昇格のクラブが決定していないなど混沌としているタイサッカーリーグ。様々なメディアなどで報じられるように、タイサッカーリーグは確かに盛り上がりを見せ、周辺ビジネスも含め魅力的なリーグではある。しかし実際には、考えられないような数多くのトラブルが起きているのも現状だ。その中でも、今現在起こっている今シーズンの昇格・降格にまつわる問題を詳説する。

 タイプレミアリーグ(TPL) ――― まずはACLへ出場する3つのクラブに関してだが、タイからのACL出場枠は1+2。リーグ優勝クラブであるブリーラム・ユナイテッドはリーグ本戦から出場し、残りの2枠(プレーオフ予選から出場)はリーグ2位とFA杯優勝クラブとなっている。しかし、FA杯決勝の対戦がリーグ2位のSCGムアントン・ユナイテッドとブリーラム・ユナイテッドであるため、リーグ3位のスパンブリーFCが出場権利を得た。しかし、スパンブリーFCはACLの参加資格であるアジアサッカー連盟(AFC)が定めるAFCクラブライセンス制度の規定を満たしていない為、リーグ4位のチョンブリーFCが繰り上げで出場権利を得るという事態になってしまった。現在、タイのクラブでAFCクラブライセンスの規定を満たしているのは、ブリーラム・ユナイテッド、SCGムアントン・ユナイテッド、チョンブリーFC、バンコク・グラスFCの4クラブのみである。

 過去には、ブリーラム・ユナイテッドがACLの出場権を得た際に、AFCクラブライセンスの規定を満たしていないとして出場が危ぶまれたことがあった。そこでブリーラム・ユナイテッドはあらゆる方法でAFCクラブライセンスの基準の”ほとんど”を満たし(ここでの詳細は省く)短期間で出場資格を得る事に成功した。現在スパンブリーFCはリーグとAFCに掛け合い妥協点を探っている状況で、もし、過去のブリーラムなどがクリアしたように、ウルトラCでスパンブリーFCが出場権を再獲得する可能性もまだ残っている。


    BEC

 次にDivision-1へ降格となるクラブに関してだが、リーグ戦の成績で見ると、18位のTOT SC (勝ち点16)、17位のポート MTI FC (勝ち点33)、16位のBECテロサーサナFC (勝ち点35)の3クラブが降格となるのだが、現在、BEC テロサーサナ FCがリーグ戦でのリーグ規定違反を盾にスポーツ裁判所に提訴している関係で、厳密にはまだ最終的に確定していない。問題は11/15に行われたリーグ第29節のバンコク・ユナイテッド戦。結果はバンコク・ユナイテッドの1-0の勝利で終わったが、外国人選手の交代についてリーグ規定違反があったとし、試合終了後にBECテロサーサナFCが「リーグ規定に沿って3-0での勝利の判定が妥当である」とリーグに訴えた事から始まる。確かにリーグ規定には「ピッチに立てる外国人選手は3+1の計4人」であるが「外国人選手が退場処分になった場合は新たな外国人選手の交代は認められない」と記載されている。

 この試合、バンコク・ユナイテッドはカリファ・シセがこの試合2枚目のイエローカードで退場になると、タイ人選手を下げてドラガン・ボスコビッチを交代で投入した。これをリーグ規定違反と訴えたBECテロサーサナFCなのだが、今度は逆にバンコク・ユナイテッドが、降格の可能性があるポート MTI FC、チャイナートFC、サイヤム・ネイビー、サラブリーFCと共に会見を開き「これまでのリーグ戦で同じような場面があったが一度も問題にはなっていない。もし、今回の提訴で結果が覆るのであれば、これまでにリーグ戦であった同じような試合も全て対象にすべきである。降格の可能性が出てきたBECテロサーサナFCが関与したこの試合の結果だけが覆るのであれば、それは到底受け入れられない」とし、真っ向から反論するという展開になった。

 リーグはスポーツ裁判所への仲裁を経て、FIFAへと結果を委ね、現在その結果を待っている状態だ。BECテロサーサナFCのチェアマン、ブライアン・マーカー氏は「もしこのリーグ規定違反が認めらず降格となった場合にはクラブを売却するしかない。スポーツ裁判所のみならずFIFAへも訴え、我々の正当性をハッキリさせる」と語っており、このままBECテロサーサナFCが降格となれば、最悪の場合、クラブの売却・消滅もあり得る。可能性としては低いが、この事態に来シーズンのTPLを20チームとする案も出てきており、まだまだ降格チームがどこになるのか不透明な状況となっている。


    police

 ディビジョン1(Division-1) ――― 来シーズンのDivision-1は20クラブから18クラブへと縮小される事が決まっている為、TPLの昇格クラブが3、Division-2への降格クラブが6となっている。昇格を決めたのは、圧倒的な成績で優勝を飾ったポリス・ユナイテッド (勝ち点80)、2位以下の大混戦の中で抜け出したパタヤ・ユナイテッド (勝ち点65)だった。問題なのは最後のTPL昇格の権利を持つ3位のクラブがいまだ決まっていないという事だ。

 絡んでいるクラブは、3位のBB-CU FC (勝ち点60)、4位のスコータイFC (勝ち点59)、5位のナコンパトム・ユナイテッド (勝ち点59)の3クラブ。5/9に行われた第13節のスコータイFC vs ナコンパトム・ユナイテッドの試合で、暴風雨の影響で一時試合が中断。そのまま停電となりスタンドの照明が落ち、その後も回復出来なかった為、スコータイFCが1-0とリードした状態で39分に試合続行不可能となり試合は終了した。リーグ規定によれば「スタジアムの照明が落ち、その後復旧できずに試合続行不可能となった場合は、ホームゲームを開催するクラブ側の責任となりアウェークラブの勝利となる」と記載されている。しかし、リーグが下した判断は再試合。これには当初、不満はあるものの両クラブ共に再試合を行う事を了承したが、再試合の日程、場所、スコアの部分で折り合いがつかず、リーグ終了まで再試合が行われる事はなかった。現在クラブは、行政裁判所、スポーツ裁判所などに提訴し、リーグもFIFAに対して仲裁依頼行っており、FIFAからの結論を待っている状態になっている。

 リーグとしては12月中に再試合の方向で話を進めていたが、FIFAからの判断結果を待ち、それに従うとアナウンスしているが、再試合が行われるとしても年が明けてからと見られており、両クラブもクリスマス前にはオフに入り外国人選手などは帰国してしまう状況で、最後のTPL昇格の権利を持つ3位のクラブが決まるのは開幕も近くなってからになると予想される。また、可能性は低いが、前述のようにTPLが「20クラブで」という話も出ている事から、Division-2への降格クラブも影響を受ける可能性がある。もしTPLが20クラブになった場合、Division-1に降格するクラブは1クラブのみ。とすれば、Division-2へ降格するクラブは4クラブだけとなり、残りの2クラブはDivision-1に残留となる。

 このように混沌としている今シーズンの昇格・降格。どういった結果になるのか全く予想出来ない状態だ。こういった問題はリーグ運営の未熟さに起因しているが、もっと奥底にあるのは、財力、政治力といった権力者が幅をきかせる土壌があること、それを良くないと思っていても受け入れてしまう国民性にも起因する。タイサッカーリーグではこういった事案が続いてきた過去があり、改善されているとは言えそれが今現在も続いている。これは国民性の問題でもある為、一朝一夕で解決するのは難しいだろう。しかしこれはタイサッカーリーグが持つ個性であり、否定されるべきものではない。こういった問題が噴出してはいるが、それでもここにはサッカーがあり、リーグがあり、選手、関係者、ファンがいる。魅力あるリーグである事は間違いないだけに、スッキリとした形で来シーズンを向えられるような結果であることを期待したい。


                                          【Samurai x TPL】