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[特集] 熊本震災とタイサッカーリーグ

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2016/5/11
[特集] 熊本震災とタイサッカーリーグ

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 2016年4月14日21時26分、熊本県熊本地方を震央とするマグニチュード6.5の地震が発生し、16日には再びマグニチュード7.3の地震が発生。阪神・淡路大震災と同規模の大地震が熊本を中心とする九州地方を襲った。タイではソンクラーン(旧正月)期間中で、タイ国内がソンクラーンの水かけ祭り一色となる中、タイ・ラットやカーオ・ソットといった現地新聞、バンコク・ポストやネーションといった現地英字新聞などの主要メディアは「日本・熊本で破壊的な大地震」と1面のトップニュースで一斉に報じ、国王であるラーマ9世、プーミポンアドゥンラヤデート国王は「悲劇的な地震の報告に心を痛める」と声明を発表し、タイ軍事政権のプラユット暫定首相も「国民と政府を代表し、日本国民と政府に心よりお悔やみ申し上げる。」と弔意を伝え、「要請があれば日本に支援を提供する用意がある」と支援提供の用意がある事をいち早く日本側へ伝えた。ソンクラーン期間が終わり日常に戻ると共に、タイ国内では各団体、企業、著名人や一般の人々の間でも、被災した熊本の人々へ向けてSNSなどを使用した応援メッセージや、イベント会場などでの義援金活動などのアクションが起こり始めた。

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 タイサッカーリーグに所属する選手の中にも、タイリーグ6シーズン目をむかえた樋口大輝(Division-1/タイホンダFC)、同じくタイリーグ6シーズン目をむかえた佐藤祐介(Division-2/プーケットFC)、タイリーグ3シーズン目の山内祐一(Division-2/カスタムズ・ユナイテド)など、地震被害を受けた熊本出身の選手が複数在籍している。中でも、佐藤祐介、山内祐一の両選手は実家の一部が損壊するなどして、家族は今もなお避難所生活を強いられている。このように、サッカーだけに集中する事が難しい状況におかれる中、複雑な想いを胸にプロ選手として日々の練習やリーグ戦をこなす選手、また、家族の為に一時帰国を余儀なくされた選手が出てきている。そんな中、タイサッカーリーグの各クラブ、選手、ファン、また、かつてタイサッカーリーグでプレーしていた選手などが一連の熊本地震に対し様々なアクションを起こしている。

 www.facebook.comPhuket-FC yusuke sato

 Division-2に所属するプーケットFCでは、同クラブで4シーズン目をむかえ、外国人選手ながらキャプテンを務めるなど、今やクラブを代表する選手となった佐藤祐介(DF)が所属している事もあり、地震発生直後からファン主導の義援金募集の呼びかけが始まり、ファンだけでなく、かつてプーケットFCに所属していた選手や在プーケット日本人会なども加わり、SNSなどを使った義援金募集、チャリティーオークションなどの活動が始まった。佐藤は「実家が被災し家族が避難所生活を強いられ、今もなお余震が続く不安定な状況で、正直に言ってサッカーだけに集中出来る精神状態ではないですし、自らが義援金活動などアクションを起こす余裕がない状況です。そんな中、ファンの間でこういった活動が自発的に起こった事に対して本当に感謝しています。」と心境を語る。佐藤は、2011年に起こった大規模なタイ洪水の際に、かつて所属していたロアッソ熊本や熊本県サッカー協会の協力を得て、日本に一時帰国した際に熊本市内でタイ洪水の被災者支援のため義援金活動を行っている。こうした活動の経緯もあり、また、外国人選手として同一クラブで複数年在籍するのは難しいタイリーグで、今季プーケットFCで4シーズン目をむかえ、クラブとホームタウンであるプーケットに愛されている佐藤だからこそ「佐藤の出身地である熊本の為に!」とファンの間から自発的にこのようなアクションが起こったのである。集まった義援金は、佐藤自身の手によって出身地である熊本市の震災義援金窓口へ送金された。

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            ~Photo [Pray for Kumamoto -Thai Honda-]~

 また、Division-1に所属するタイ・ホンダFCの樋口大輝(DF)は、クラブの母体であるタイ・ホンダの社員に掛け合い、現地工場に従事するスタッフの協力を取り付けると、チーム・メイトである馬場悠企(MF)と共にタイ・ホンダ工場内で義援金活動を行った。多くのタイ人従業員が「応援しているから頑張って」と両選手に声を掛ける中、ある従業員は「熊本にはホンダの工場があり研修で行ったこともありますし、それが切っ掛けで熊本が好きになりプライベートでも行っています。今回の震災は非常に悲しい出来事ですが、一日でも早く好きな熊本が元の姿に戻ることを願っています」と、両選手と握手をしながら励ましの言葉を送った。樋口は「幸いにも自分の実家付近は被害が少なかったんですが、それでも今もなお余震が続き避難所生活している方が沢山います。サッカーに集中する事が難しい状況で一時帰国する事も考えましたが、今帰ってもやれる事は少ないですし…。今回、タイ・ホンダで働く多くのスタッフの方々が協力してくれて本当に感謝の言葉しかありません。」と語った。震災が起こってから初のホーム試合、樋口は「熊本、頑張るばい」と書き込まれたシャツを身に着け入場し、チームメイトである馬場、秋本倫孝(DF)と共に応援メッセージを送ると、2-2の同点でむかえた後半ロスタイム、勝ち越し弾となる得点を決め、地元熊本の人々に彼なりのメッセージを送った。集まった義援金は熊本県の震災義援金口座へと送られ、被災地の支援や熊本県の早期復興に当てられる予定となっている。

 www.facebook.comNakhonratchasimaFC p1462289804539

 タイサッカーリーグ5シーズン目をむかえる加藤友介(MF)が所属するDivision-2のウドンターニーFCのスタンドには「頑張ってKUMAMOTOの皆さん」と大きな横断幕が掲げられ、PLTのナコンラチャシマーFCに所属する福岡出身の長野 聡(DF)は、異国の地で自分のできる事はサッカーでアピールする事と「頑張ろう熊本」と書き込まれたシャツを着込み復興への応援メッセージを送った。また、かつてバンコク・ユナイテッドやエアフォース・ユナイテッドでプレーし、今季での引退を発表した宇留野 純氏は、ロアッソ熊本に3シーズン在籍していた事もあり、地震発生直後から救援物資を現地まで届ける活動を続け、一時帰国している山内祐一と共に積極的に各避難所を訪れ、救援物資を届けると共に、子供たちとボールを蹴るなど避難所生活を強いられる被災者に心強いメッセージを送り続けている。アーミー・ユナイテッドやエアフォース・セントラルFCでプレーしていた船山祐二は、現在所属する東京ヴェルディでクラブと共に募金活動を行い、昨シーズンまでチェンライ・ユナイテッドでプレーしていたヴェルスパ大分に所属する杉本恵太は、熊本と同じように大規模な地震が続いた大分へ向けて連日応援メッセージを送り続けている。

 このように、タイサッカーリーグ界でも少なからず今回の震災に対し何らかのアクションが起こっており、また、かつてタイサッカーリーグでプレーしていた選手などが日本で積極的に被災者支援の活動を続けている。様々な選手などが自分の出来る範囲での支援、ブログやSNS、試合などを通じて熊本の人々へ応援メッセージを送り続けている。また、タイサッカーに関係する人々の間でもチャリティーイベントの話も持ち上がっており、タイサッカーリーグに所属する選手、監督、コーチなども参加する形で、今後も引き続き熊本地震復興の為のアクションが続くと見られる。タイには「タンブン(徳を積む)」という仏教を背景とする慈善の文化があり、人々の心の中には「困窮する人がいれば損得を考えず助ける」という考えが当たり前の事として深く浸透している。そういった背景もあり各個人が起こしたアクションにタイの人々は共感し協力したのだろうが、決してそれだけではないはずだ。皇室・王室や政府から民間まで、今までの日本とタイの良好な関係があったからこそ、そして日本人選手、監督、コーチのタイサッカーリーグにおける貢献があったからこそではないだろうか。こういった先人たちの貢献が今後も継続され、サッカー界を含む日本とタイの良好な関係が続く事を信じ、熊本の一日も早い復興を祈念したい。


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