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[特集] タイサッカーリーグの変革 2017~2019

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 press release
2017/1/18
[特集] タイサッカーリーグの変革 2017~2019


www.thaileague.co.th

 昨年10月のプミポン・アドゥンヤデート前国王(ラーマ9世)の崩御を受けて、全てのリーグ戦が中止となってしまった2016年シーズンのタイサッカーリーグ。リーグ中止から2ヶ月が経過した昨年末、タイサッカー協会(FAT)はバンコク都内のホテルにおいて、FATと国内リーグの新しいロードマップの説明を行い、リーグ呼称及びリーグシステム、リーグロゴの変更、ASEAN国籍選手枠の採用、リーグからの財政援助など、2017年から2019年までの中期計画に沿った様々な改革案を発表した。

 昨年2月に行われた会長選挙により一新されたFATは、前会長のウォラウィー・マクビー氏の影響下にあった旧体制を一掃し、リーグ名を “タイプレミアリーグ / Thai Premier League” から “タイリーグ / Thai League” に変更すると共に、リーグ運営会社名を “Thai League Co.,Ltd.” に変更。また、AFC(アジアサッカー連盟)からシンガポール人のベンジャミン・タン氏をリーグ副会長として招聘し、FIFA(国際サッカー連盟)及びAFCに準ずるクラブライセンスの厳格化を図るなど、FAT新会長のソムヨット・プンパンムアン氏を中心に、急成長を遂げながらも旧態依然としていたずさんなリーグ運営とクラブ運営にメスを入れ始めた。そして、新体制となって2期目の2017年シーズン、タイサッカーの国際的な競争力向上を目的とした具体的なリーグ改革に着手し、以下のような中期計画を発表した。

   

リーグ呼称及びリーグシステム、ロゴの変更
 まず第一に発表されたのがリーグ呼称及びリーグシステムの変更、そしてリーグロゴの一新だ。トップリーグであるタイ・リーグ(Thai League)はそのままタイ・リーグ(Thai League / 略記 T1)、セカンドリーグであったディビジョン1(Division-1)は、タイ・リーグ2 (Thai League 2 / 略記 T2)、セミプロやアマチュアが混在していた地域リーグであるディビジョン2 (Division-2)は、プロであるタイ・リーグ3 (Thai League 3 / 略記 T3)と、セミプロであるタイ・リーグ4 (Thai League 4 / 略記 T4)、そして最下にタイ・アマチュア・トーナメント (Thai Amateur Tournament)と、全5つのカテゴリーに別れる事となった。2017年シーズンの各カテゴリー所属クラブ数は、T1が18クラブ、T2が18クラブ、T3が2地域30クラブ(※29クラブに変更)、T4が6地域62クラブ(※61クラブに変更)となり、各カテゴリーへの振り分けは2016年シーズンの成績とクラブライセンス交付の有無が反映された。T1については、2019年シーズンに18クラブから16クラブに縮小してのリーグ運営となることが発表されたが、これは、年間26週45試合(カップ戦含む)と代表戦をこなさなければならない選手への負担を軽減することを目的としており、試合数軽減による選手のパフォーマンス向上を狙いとしている。

   

Bチームの登録認可
 T1所属クラブに対し、出場機会の少ない選手や若いアカデミー出身選手などの経験を積ませる場として、各クラブにはスペイン・リーグのようなBチームを持つことを認めた。BチームはT4のカテゴリーに所属し、上部カテゴリーへの昇格資格は無いが、選手を育成しトップチームへ流動的に輩出することが可能となる。

外国人選手枠
 外国人選手枠について。2017年シーズンのT1については登録人数や出場可能人数などに変更はない。しかし、T2以下のカテゴリーにおいては、2018年シーズンからT1を含む全カテゴリーで採用される予定となっている “ASEAN国籍選手枠(アセアン枠)” が試験的に採用される。ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、ブルネイの国籍を持った選手がASEAN国籍選手枠(アセアン枠)”に該当し、登録される選手は3年間の特別滞在許可の発行などで優遇される。試合出場可能選手は、一般外国籍選手枠(外国人枠)3名+AFC国籍選手枠(アジア枠)1名+ASEAN国籍選手枠(アセアン枠)1名の計5名が試合出場可能となる。アセアン枠の採用については、経済とも結びついたアセアン内での市場拡大の側面があり、代表クラスの選手や人気選手を獲得することによって、タイ国内で就労するアセアン各国のファン獲得や、アセアン各国からの投資を呼び込む狙いもある。

財政援助
 財政援助について。FAT及びリーグは各クラブに対し、スタジアムの照明、観客席、VIPルーム、メディアルーム、クラブハウス、練習場、アカデミーなど、主に設備投資の分野において財政援助を行う。各クラブで立案提出する計画などがFAT及びリーグに認められれば、各クラブは財政援助を受けることが出来る仕組みになっている。また、リーグ分配金は、T1が500万バーツ+放映権2000万バーツ、T2が100万バーツ+放映権300万バーツ、T3が100万バーツ+放映権100万バーツ、T4が100万バーツとなる。

 今日まで経済的な発展と共に急成長を遂げてきたタイサッカー界であったが、ここ数年は、国が直面している経済発展の鈍化と共に成長の曲線が緩やかになってきている。リーグ観客動員数も増加から減少に向かうなど、一時期の盛り上がりと比較すると、成長スピードの鈍化は否めない。これは、プロリーグとして体を成していなかったリーグが体を成すようになり、それがある程度の水準まで達してしまったことによるもので、決して悲観するようなものではない。新体制となったFATとリーグが着手した今改革は、ファンを含め停頓傾向にあったリーグの雰囲気に新風を吹き込み、リーグの変化を期待させるのに 非常に良いタイミングであったのではないだろうか。FATとリーグは、タイサッカーの国際的な競争力向上を本気で目指し始めている。これが良い流れで継続して行くのかどうか、まずは今シーズンを注意深く見守ってみたい。