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― タイサッカーリーグ観戦紀行 2015 ― Vol.6 タイ南部 プーケット県

コラム

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2015/08/10

[ Vol.6 タイ南部 プーケット県 ]
Division-1 2015 第11節 プーケット FC vs クラビ FC


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 昨日までの雨が嘘のように快晴となったパンガーからの移動日。バスの窓から外を見渡せば、綺麗に澄み切った青空が延々とひろがっている。タイ本土とプーケット島を繋ぐサラシン橋でしばし検問を受けた後、バスは再びプーケット島へ向けて走り出した。プーケット市内には、プーケットタウンの中心部にある旧バスターミナルと、テープクラサットリー通りに面する2012年に新設された新バスターミナルの二つのバスターミナルがある。プーケットFCのホームスタジアムはプーケットタウンの”スラクル”にあるのだが、パンガー県のヤオノーイ島とプーケット島に取材で訪れていた知人と落ち合うため新バスターミナルでバスを降り、合流した後、島のメインビーチであり一番賑やかなパトンビーチへと向かった。

 プーケット県にはパトンビーチを始め、島周辺に白い砂浜と透明度の高いビーチが数多くあるため、プーケットを訪れる人々のほとんどが島内各地に点在するビーチリゾートに滞在する。しかし、今回は訪れることはなかったが、プーケットタウンの旧市街にはシノ・ポルトギース・スタイル(中国・ポルトガル様式)と呼ばれる建築様式 ※正確にはシノ・コロニアル・スタイル(中国・コロニアル様式)の街並みがあったりと、ビーチ以外の見どころもある。ここはオシャレなカフェや土産物屋も点在しており、また、陽が落ちるとライトアップもされるため、ノスタルジックな雰囲気を醸し出す街並みはツーリストにも人気がある。

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 プーケットタウンとパトンビーチの移動には、軽トラックや中型トラックの荷台を改造した”乗り合いトラック”を利用するのが便利だ。今回は時間的に余裕があるうえ、ビーチ沿いの乗り場からプーケットタウンまで片道わずか30バーツで行ける中型の乗り合いトラックで向かう事にし、宿泊先からほど近いパトンビーチ沿いにある乗り場へ向かった。3列に作られた荷台は出発するとすぐに現地人と観光客で満席になるのだが、乗車口であるトラックの最後方に陣取った客なのか乗務員なのか分からないお婆さんが「もっと奥に詰めろ」、「荷物は膝の上に置け」とスーツケースをもった観光客に大声でわめき立てている。窓もない荷台の座席に吹き込んでくる心地良い海風を受けながら「始発点から乗車していて良かったな」などと思いつつ、パトンビーチからプーケットタウンまでの小高い山越えの道程の景気を眺めていた。

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 パトンビーチから約30分。プーケットタウンに向かう途中、セントラルフェスティバルの近くにある”スラクル・スタジアム”の前で、車内にあるブザーを押して乗り合いトラックを降りた。スタジアムはウィチットソンクラーム通りに面し、チケットブースやオフィシャルストアもこの通りに面している。また、通りには飲み物や軽食の屋台がずらりと並び、。メインスタンド側の通りに入ればすぐに公園があり、さらに進んで行くとその奥には食堂がある。そこではレプリカユニフォームを着込んだファン達はすでに宴を始めていた。チームカラーである緑を基調としたスタジアムに入ると、ゴール裏側の向こうには石灰岩でできた山々がそびえ立ち、周辺の木々の緑と夕暮れの空とのコントラストが素晴らしい。有名な観光地だけに、メインスタンドにはタイ人だけでなく欧米人などの外国人の姿も多く見かけられた。

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 ホームのプーケットFCにはタイ5シーズン目、プーケットFCで3シーズン目をむかえる佐藤祐介(DF)が所属しており、今シーズンはチーム・キャプテンとしてチームを牽引している。また、徳島ヴォルティスやコンサドーレ札幌に所属していたブラジル人、アンドレジーニョ(MF)も所属している。アウェーのクラビFCには前田遼平(MF)が所属しており、近県同士の南部地区ダービー、そして日本人対決と、お互い負けられない試合となった。佐藤はディフェンスラインから大きな声とジェスチャーで指示を出し、ピンチになれば体を張って攻撃の芽を摘んでいく。決して派手でスマートではないが、泥臭く体を張り、セットプレーでは体ごとゴールに向かっていく。常に大きな声で周りを鼓舞する姿はキャプテンそのものだった。また、クラビFCの前田は中盤に位置し、特徴であるシンプルなボールさばき、激しくも冷静にファイトする姿は堂々としていて頼もく見えた。結果はプーケットFCが前半38分に先制するも、後半76分に同点に追いつかれ1-1のドローに終わったが、まだタイのサッカーリーグが現在のように注目される以前からプレーしている両日本人選手が先発フル出場した試合は非常に感慨深く、今回の南部サッカー観戦ツアー最後に相応しい試合となった。

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 ソンクラー県からプーケット県まで、マレー半島を西側から東側へ各県に寄りながらバスで移動した今回の南部サッカー観戦ツアー。雄大で圧倒的な存在感を醸し出す大自然や、マレー文化や中華圏の影響が色濃く残る街並み。これらタイ南部が持つ独特な雰囲気は、ラーンナー文化の北部やイサーン文化の東北部とはまた違った魅力がある。世界的にも有名な観光地であるクラビやプーケット以外にも驚くほど素晴らしい絶景があったり、歴史的な建造物や南部特有の料理もある。サッカー観戦以外にも魅力満載のタイ南部、お薦めである。

    

 


                   【写真:Taneomi Takada , Samurai x TPL / 文:Samurai x TPL】


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